認知症グループで体操をして気づいたこと
仕事はデイサービスでのリハビリ。当たり前ですが、認知症の高齢者にかかわることが多い。僕が在籍するデイサービスは一部が認知症対応型になっている。それもあって、認知症が重度な高齢者グループに体力維持するために体操を行う。
認知症が重度になると、活動性が低下し、反応が悪くなる。また、思うように体を動かせなくなるので、見本の動きの真似をすることも難しくなるほどに。集中できない人が多いため、こちらが思うよう体操を進めることができないことも多い。そのような環境で体操をするうちに気づいたことがある。
それは、手拍子でリズムをとると、何らかの反応を示す高齢者が多いということ。
それまで「体操なんてやらないよ」と言っていた人が一緒に手拍子を始めたり、ムスッとしていた表情が笑顔になったり、手拍子はしないけど体だけを揺すったりと。
手拍子に合わせて「はい」という声をつけるとなお良い。手拍子で「パン・パン・パンパンパン」と打つ時に「はい・はい・はいはいはい」と大きな声で言うのだ。そうすることで、場に一体感のようなものが生まれだす。
その一体感のようなものが生まれると、僕の中に心地よさが生まれてくる。自然と気分が良くなってきて、自分がやる体操にテンポがでてくる。一緒に体操している認知症の高齢者の方も心地よさを感じているのが、なんとなく伝わってくる。
デイサービスで気づいた経験を地域の高齢者グループでの体操にもいかしている。認知症の方が集うオレンジカフェなどで体操をやれせてもらうことがあるが、この時も、最初に手拍子を打ってその場所に一体感を作り雰囲気を良くすることがある。相手も僕も、雰囲気を良くなることで自然と体が動き出し、声も出てくるのだ。
気持ち良さ、心地良さ、雰囲気の良さって体操する時に忘れがちかもしれない。筋力アップ、体力アップと身体的な強さばかりに意識が向くことが多い。もちろん、それも必要である。しかし、高齢者が継続して体操をするには、気持ち良さや心地良さをもっと取り入れていくことが大切かもしれないね。