だんだんな気持ちで淡々と暮らす

淡々とした生活の記録

お正月に神社でお焚き上げした後の灰はどこに行くのだろう?

と、いうことを考えたことがあるだろうか。


遅くなったが、氏神様へ初詣に行ってきた。毎年、お正月はカミさんの実家で過ごすので、氏神様への参拝は少し遅くなる。



境内にはいると、なぜか分からないが「猿回し」をしていた。
妻と息子は、お参りより先に、最前列に陣取り観覧することにしたようだ。




僕はその間に、持ってきた破魔矢を返納所に持って行った。
三が日をとうに過ぎていたので、返納品は少なかった。



返納し終わっても、猿回しは続いていた。小さな笑いも起きていた。
初詣に来て、猿回しに出合ったのは初めてだ。


僕は暇な時間をどうしようかと考えた。
すると、すぐそばで返納品のお焚き上げをしていた。
寒いということもあり、そこで暖をとろうと行ってみた。



こういった神様関係のものは、神主さんが祝詞でも唱えながら燃やしたりするのかと思っていた。実際は、地下足袋をはいた中年くらいのお兄さんが、無造作に投げ入れ燃やしているだけだった。そのお兄さんの仕事ぶりをぼんやり眺めながら、小さな疑問が沸いた。


僕たちの破魔矢を燃やした後の灰はどこに行くのだろうか?


三が日を過ぎ、お兄さんの仕事もそれほど忙しそうでもなかったので、思わず聞いてしまった。

僕  「この灰はどうするんですか?」

お兄 「灰を置くところがあって、そこに持っていくよ」

僕  「へー、じゃあ、灰置き場があって、それを業者が持って行ってくれるんですね」

お兄 「そうそう。灰は意外と高いのよ」

僕  「あー、業者に処理してもらうのにってことですか?」

お兄 「そうそう。昔は畑に撒いたりしていたんだけど、今はね。木とか藁をしっかり分けて燃やせば、それもできるけど、そんなことしてたらキリがないからね。鈴とか燃やしたの畑に撒けないでしょ」

僕  「そうですよね」

他にも、昔は人形とか持ってくる人が多くて、納品所の半分は人形だったこともあったなどの面白い話が続いていたが、猿回しが終わったようだったので、軽く挨拶をして、カミさんと息子に合流した。


返納品を燃やす時に神主さんが居ないのはしょうがないとして。
でも最後には、灰になった破魔矢に対し、神主さんが「1年間、俺の代わりにこの家族を守ってくれてありがとな。お疲れさん」的な言葉を掛けているのではとどこかで期待していた。業者が処理するという、その現実を受け入れる振りをしながらも、少なからずショックを受けていた。


小さなショックを抱えつつも、しっかりお参りし、しっかりおみくじも引いた。
そして僕は、神主さんに労いの一言も掛けられず、灰になり処分される破魔矢に小さな後ろめたさを感じながらも、次に僕たち家族を守ることになる今年の破魔矢を握りしめ神社を後にした。


「ありがとう、破魔矢。おまえのおかげで良い一年だったよ。」