男の子は母親に完全なるものを求めているのかもしれない
「お父さんは尊敬している」
と小6の息子から言われたお母さん、
「じゃあ、お父さんと暮らせばいいじゃない」
と。その通りである。
旦那の浮気の発覚により別居生活をしているお母さんから聞いた話である。学校で少しだけ問題がある息子に対し苦労しているのに、何もしないお父さんを尊敬していると言われたら、それはたまらない。
僕はただその話を聞いているしかできなかったのだけど。
なんで、彼はそんな風に言ったのだろう?
彼には彼にしか分からない苦しさがあり、両親が別居している「今」に対し呪うような気持ちもあるだろう。僕が、彼にも、そのお母さんにも言えることは何一つとしてない。
でも、なぜか、その話が終わった後も、ずっとその事が引っ掛かっていた。
なんで、彼は「お父さんは尊敬している」なんて言ったのだろう?
僕の母親のことは、何度かブログに書いた。
犯罪を犯し刑務所に入った父、わずかな間とはいえ、その間に違う男と一緒に僕らの前から消えた母、どっちもどっちである。
それにもかかわらず、今だに傷として僕の心に残っているのは、母が僕らの前から消えたことである。
なんでだろう?
父の犯した罪により僕は少なからず肩身の狭い思いをした、分からなかったけど精神を病んでいたのかもしれない。でも、今となっては、父に対し弱い人間だったんだなと同情し、父のせいでけっこうシンドイ思いをしたのに、「あなたの人生、好きなように生きたんだから満足でしょ」というようなはなむけの言葉を送ることができる。
でも残念ながら、母のとった「わずかな期間とはいえ、僕たちを置いて消えてしまった」という行為は、今でも完全に受け入れることはできていない。その前と後では母に対する気持ちは大きく変わった。変わったまま今に至っている。(まあ、父に対してもかもしれないが)
これは私見なのであるが、男の子っては母親に対して完全なるものを求めているのかもしれない。「自分(息子)以上に大切なものはない」と母親に思ってほしいと。勝手な話であるが。
「お父さんは尊敬している」って言ったのは、母親に対する甘えなのかもしれない。あくまで推測だけど。あえて母親が傷つくような言葉を言う、それでも自分を愛してくれ、大切にしてくれるのを切望しているのかもしれない。いや考え過ぎか。。。
繰り返すが、小学6年生で母が僕の前から消えた、僕はその時の記憶から完全に逃れることはできていない。
もし、そのお母さんが息子を自分のそばから手離したら、その息子は母親から捨てられたと思うかもしれない、そして、その傷は一生残るかもしれない。それはそれで彼(息子)の人生ではあるのだが。。。
でも、頑張ってこれからも一緒にいれたら、「僕のために頑張ってくれた母」のことを分かる日が来ると思う。いや、もう分かっているのかもしれない。たぶんそうだ。
頼まれてもいないのに、その母親に伝えたいことを、伝える可能性がほぼないのに、いろいろと考えてしまった。
世間ではこれを「ヨケイナオセワ」という、、、、、でも、やっぱり、その母親も息子のことも応援せずにはいられない、、踏ん張れ、頑張れと。