だんだんな気持ちで淡々と暮らす

淡々とした生活の記録

デートに谷村新司のコンサートに行った友達の話

この前、高校の同級生の大山くん(仮名)のことを書いたら好評だったので、えっ誰に好評だったかって?、そりゃもちろん、奥さんにです。内輪ウケ最高!

なので、またまた大山くんのことを書きます。

 

 

大山くんは、モトリクルーというアメリカのバンドが好きな少年だった。

「モトリクルーってすごいんだぜぃ、ドラムが回転しながら叩くだけん。」

曲が好きというより、彼らのパフォーマンスに心惹かれているようだった。そうそう、YOSHIKIがいるXも大山くんから教えてもらった。Xがまだ売れてない頃からチェックしていた。さすが大山くんだ。

「Xってバンドがあんだけど、火を噴くんだぜぃ」

と、これまたパフォーマンス優先にバンドの説明をしてくれた。

 

大山くんの音楽観は若干ふつうの高校生とは違っていたかもしれない。音楽性は後回しで、いかに度肝を抜くパフォーマンスをするかが、大山くんの評価基準だった。

 

そんな大山くんであるが、その音楽性に惹かれた一人の日本人歌手がいた。

それが、谷村新司ある。

クルリと回るドラム、火を噴くYOSHIKIと並んで、昴を歌谷村新司をこよなく愛していた。そんな彼が、

 

「今度、女の子と谷村新司のコンサートに行くんだ」

 

という、高校生としてはなかなか渋いデートをすることになったらしい。その女の子は小学中学の同級生で、まあ彼女ってわけではないってことであった。がしかし、満更でもない表情の大山くんだった。

高校生の女の子が喜ぶかどうか微妙な選択ではあるがこれも仕方ない。確かに田舎の町に、アイドルや人気バンドが来ることは稀であり、来るのはピークを過ぎた往年のスターくらいのものだ谷村新司はかなり当たりの部類に入るのかもしれない。まったくもって、失礼な話ではあるが。

 

そんな話題性の高いネタではあったが僕らは高校生、日々展開される様々な出来事の中で、大山くんが谷村新司コンサートに女の子と行くことなんてのはすっかり忘れてしまっていた。

 

そんな折、大山くんが楽しそうなというか、ニヤついているというか、いいネタありまっせって顔で僕らのところに近づいてきたかと思うと。

 

「おうおう、この前、谷村新司のコンサートに行ってきたわ」

と大山くん。

そんなことすっかり忘れていた僕らであったのだが、谷村新司の名前を聞いてあの日の記憶がよみがえり、一気にぼくらは盛り上がった。

 

「おぉ~、それでそれで、どうだったの?」

 

「いや~それが、彼女調子悪くなって、一緒に行けれんかったわ」

 

「やっぱりな、最初からその女の子行きたくなかったんやろな。」と口にはしないものの、僕らはみんな思っていた。そうそう谷村新司興味がある高校生の女ん子はおらんやろ、大山くん残念やったね。先走っちゃったね。

しかし、その後、大山くんは僕らの貧弱な想像力を遥かに超えることを言ったのだ。

 

「代わりに、その女の子のお母さんと行ってきたわ」

 

 

えっ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ぇ、そんなんあるの~~~~んか~~~い。

いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや~~~~~~~ん。ばか~ん。

 

思わぬ展開に、みんな度肝を抜かれた。そして、

 

大大大爆笑

 

大山くんによると、

その女の子の家に迎えに行ったら(狭い町なので、ご近所さんなのだ)、お母さんが出てきて「○○ちゃん、調子が悪いって寝てる」と言われたそうだ。まあ、そこまでは良いとしてだ。したら、

チケットもったいないし、わたしが一緒に行ってもいい?」

とその女の子のお母さんに言われたそうだ。ご近所さんであり、檀家さんである、そのお母さんの嬉しい申し出を断ることもできず、2人で谷村新司のコンサートに行ったということであった。

 

 

 

この話もどこまでが本当で、どこまでが妄想か分からずじまいだ。もし、妄想だとしてもとてもおもしろい話だ。今だに僕の記憶にしっかり刻み込まれているんだから。