だんだんな気持ちで淡々と暮らす

淡々とした生活の記録

現場の声を聞くから気づくことってある

デイサービスでリハビリの仕事をしていることもあり、その地域の高齢者グループに体操指導したり、認知症予防、介護予防についてお話させてもらうことがある。

 

先日、ある高齢者グループに「認知症予防」をテーマにお話しさせてもらう機会があった。公営団地に高齢者だけで生活をしている方が集まり、カラオケ、料理、園芸などを一緒に行っている。だいたい40人くらいのグループとのことだった。

 

前もって資料を準備しなければならないこともあり、その会に参加する方の人数を確認する。そうすると、グループ人数の8割くらいが参加する予定と言われることが多い。このグループなら参加するのは30人くらい。しかし、実際に行くと、参加者はさらに減る場合もある。

 

僕のほうは、人数が多かろうが少なかろうがあまり関係ない。進行の仕方は少し変わるが、話す内容については変わりがないからである。だから、予定より参加する高齢者が減ることに対してほとんど気にしていなかった。ましてや、そこに大きな問題があるなんて思いつきもしなかった。

 

結局、この時も参加者は20人を少し超えるくらいだった。でも、参加してくれた方の反応も良く、少しはお役に立てたかなという満足感はあった。最後に、グループの代表の方とあいさつも兼ねてお話をしている時に言われた一言で、自分の考えの甘さに気づかされた。

 

「でも、この会に参加していない人に問題があって、その人たちにこそ今日の話し(認知症予防について)を聞いてほしかったんだよね。」

 

僕は目の前にいる高齢者に理解してもらうことだけに気をとられ、少しだけでも理解されたことに満足していた。でも、会に参加している高齢者は認知症予防、介護予防の意識が高い人なんである。

認知症予防、介護予防において問題になるのは、こういった会に参加していない、できない高齢者なのだ。

 

地域に出向いてお話することで、何かやった気になっていた自分がいることに気づかされた。現場に行くことで、このような生きたフィードバックをもらうことができる。本当にありがたい。

 

 

代表の方とのお話も終わり、帰ろうとすると、一人のおばあちゃんが

「今日来れなかった友達に渡したいのだけど、資料6部くらい余ってない」と声をかけてくれた。もちろん、全然余っていたので、よろしくお願いしますという気持ちで資料を渡した。このおばあちゃんの積極的な行動が、僕にヒントを与えてくれた。

 

資料を読んだだけでも、十分に認知症予防のことが分かるにはどうすれば良いか、ということが頭の中をグルグル巡る帰り道になった。